出産・子育て、そして仕事。ライフステージが変化するなかで、働き続けることに悩んだ経験を持つ人は少なくありません。今回は、一度退職を経験しながらも復職し、長く働き続けているOさんに、これまでのキャリアと子育て、そして次の世代への想いについてお話を伺いました。

―本日はよろしくお願いいたします!

 まず、退職に至った当時の状況を教えてください。

私は少人数体制の営業拠点に勤務しているのですが、2001年当時は、産休・育休に関する制度や運用が

今ほど整っていませんでした。とくに人数の少ない拠点では、産休を取得して働き続けること自体が

難しいとされていた時代で、当時の総務部からもそのような説明を受けていました。

また、代替要員として派遣社員を受け入れる体制も十分ではなく、産休後の復帰を見据えた人員配置や

業務の引き継ぎを考えると、現実的には厳しい状況だったと思います。

本当は仕事を続けたいという気持ちもありましたが、制度や運用がまだ追いついていない時期だったこともあり、当時としてはやむを得ない判断だったと今でも感じています。

総務部の説明にも納得していましたし、「もし本社勤務だったら、また違った選択ができたかもしれないね」と言われたことが、今でも印象に残っています。

―その後、どのようなきっかけで復職されたのでしょうか?

退職後も会社とのつながりはありました。

そんな中で、当時の所長から「事務員が辞めることになったけれど復職してみませんか?」とお声をかけていただいたんです。

2006年6月に契約社員として入社し、2007年3月まで契約社員として勤務。

その後2007年4月から正社員としてフルタイムで働くようになりました。子どもが4歳のときでしたね。

子育てだけに専念していると、社会から取り残されてしまったような、孤立感を覚えることがありました。

この感覚は、多くの人にぜひ知ってほしいと思っています。

―復職後、働き方で意識されたことはありますか?

残業しないことを前提に、定時内で終わらせるためにどう効率よく仕事を進めるかを常に考えていました。復職後は、時間の使い方への意識が大きく変わったと思います。

当時の所員の皆さんが本当に協力的で、納期に余裕をもって仕事を回してくれたり、懇親会も事前に声をかけてくださり参加できるよう配慮してくださいました。すごくいい環境で、人に恵まれていたと感じます。当時、所長が「今の営業所、良いメンバーが揃ってるよね!」と言ってくださって、モチベーションが上がったことが印象に残っています。

―家庭と仕事の両立で大切にしていたことはありますか?

どちらも完璧にやろうとすると、どうしてもストレスになります。だから「9時から5時までは仕事を頑張る」と割り切っていました。家事も手抜きしましたし(笑)。

優先順位をつけることが大事だと思います。「無駄なことはしない」という意識は今も変わりません。

―子育てのフェーズが変わったと感じたのはいつ頃ですか?

子どもが大学生になって、自立したときですね。親離れ・子離れができて、子育てがひと段落した感覚がありました。それからは、学生時代の友人と運動したり、頻繁に会うようになりました。

付き合う人も「ママ友」から「自分自身の友達」へと変わっていきましたね。

―心に余裕が出て、仕事面での変化はありましたか?

ありますね。自分のことで精いっぱいだった頃に比べて、周りの仕事にも目が向くようになり、

視野が広がりました。それと、健康が第一だと実感するようになりました。

仕事のためにも、無理はしないことが大事だと思っています。

―なるほど。Oさんが仕事をする上で気を付けていることはありますか?

少人数の拠点なので、雰囲気やコミュニケーションは大事にしています。

思っているだけでは伝わらないと考えています。会話をし、声をかけることを意識しています。

―若い世代に向けて、アドバイスをお願いします。

自分のライフステージに合わせて、働き方を選んでいいと思います。

迷ったときは、誰かに相談してほしいですね。話すことで気持ちを整理できますし、信頼関係も築けます。

環境づくりも大切です。焦らず、自分のペースで進んでほしいと思います。

―子育て世代の男性や管理職の方へのメッセージはありますか?

子育て世代の男性は、ぜひパートナーと協力してほしいですね。

パートナーをサポートする意識を持ってもらえたらと思います。

管理職や所長の立場の方には、制度を「特別なもの」ではなく「当たり前に使えるもの」にしてほしいです。たとえば在宅勤務にしても、在宅勤務をしても問題ないという雰囲気づくりが大切だと思います。

―最後に、今後に向けた要望があれば教えてください。

介護をしながらでも働き続けられる制度についても、もっと情報共有が進むといいなと感じています。

実際に利用するかどうかに関わらず、「こういった制度がある」「いざというときに選択肢がある」と

知っているだけでも、安心材料になりますよね。

定年後の勤務延長なども含め、ライフステージが変わっても働き続けられる仕組みがあることが、

これからの世代にとっては大きな支えになるのではないかと思います。

また、介護や更年期障害といったテーマについても、研修やセミナーの機会があればぜひ参加してみたいです。自分自身のためだけでなく、周囲を理解し、支える立場として知識を持っておくことも大切だと感じています。

―貴重なお話、ありがとうございました!